千の神隠し☆幻想廃人
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第1幕 エピソード2 サクラ舞い散るこの庭で
15:21〜19:50
コン: どうします?お花見、このまま続けましょうか?
(有利: おれ、あんたとどっかで会ってるかな。
コン: ……いや。)
コン: ユーリ?
有利: うわ!なに?
コン: それは俺の台詞ですよ。俺の顔を見たまま固まってるから、どうしたのかと。俺の顔に、何かついでます?花びら?木の葉?それとも、毛虫でも?
有利: ははは、毛虫は、まだ早いって。あれは葉桜になってからが本番。大量発生すんだよ。わ!冷たっ!
コン: あ。
有利: な、なんか背中にボタッて……。雨でも降ってきた?でも、晴れてるよな?あーでも、なんか背中を伝わってる……むしろこう、這ってる感じ……。……這って……る?
コン: 陛下、申し上げにくいんですが……
有利: ま、まさか……いま、おれの背中に……
コン: ええ。毛虫らしきものが降下侵入しました。
有利: わわわわわっ!ちょ、ちょっとこら、毛虫!まだ時期が早いだろ、毛虫!出てこいって!中で潰れちゃったらどーすんだよ!そんな感触、知りたくないっつーかお互いにとって大惨事だろ?
コン: 下から出せませんか。とりあえずシャツの裾を出して……ああ、そんな無理に生地を引っ張ると、大惨事に。
有利: 大惨事はイヤー!
コン: じゃあ、先に上着を脱いでください。服を強く押さえ過ぎないよう、慎重にボタンを外して。
有利: そ、そんな微妙な……こ、このっ……あああっ、て、手が震えて、ボタン外せないよっ。
コン: 落ち着いて。俺が外すから。さ、手をどけて。大丈夫、俺に任せて。
有利: う、うん……
コン: おかしいな。どこにもいない……。どこか、感じるところは?
有利: わ、わかんないよ。いいから早く……お願いっ……。
コン: せかさないで。ここかな。それとも……
有利: あっ……
コン: ここ?
有利: ち、違う……みたい……。
コン: それじゃ、こっちは?
有利: ひゃっ……。へ、変なトコ触んないで。
コン: やめていいの?
有利: やだよ、やめないで……
コン: それじゃ……いいね?
有利: うん……。
コン: あ、ちょっと待ってください。
有利: えっ?何?
コン: もしかして、下の方ですかね?
有利: 下って……下ぁ!?えええーっ!?
コン: よしっ。ユーリ、ベルトも外しますよ!
有利: よしって!?いいです、こっちはいいデスー!
コン: でも、捜さないと困るでしょう。毒を持ってるかも知れない。
有利: 毒!?そ、そんな毛虫に刺されたら……どどど、どうなっちゃうんだ!?
コン: ……立派になるかも。
有利: イヤーっ!そんあドーピングは嫌だー!
コン: じゃあ、やっばり下も脱がないと。ほぉらっ!
有利: や、やめてー!あーれーぇぇぇっ!!
[ヴォルフラム乱入中止]
第2幕 エピソード2 年の瀬は悪夢の調べ
21:14〜25:27
コン: あれ、陛下?
有利: 陛下って言うな、名付親。よかった。おれがわかるんだね。
コン: 当たり前じゃないですか。何をおっしゃっているんです。いつもの、お可愛らしい陛下ですよ。
有利: 酔ってるのかな……。顔を見る限りじゃ酔ってるようには見えないけど……。
コン: どうしました?そんなに俺の顔を見つめて……。俺に惚れたら怪我するぜ?
有利: やっばり酔ってるかな?うん、酔ってるな、これは……。しかも相当に……。コンラッドって、そんな酒に弱いってイメージじゃないもんな。すごいよ、アニシナさん……。えーと、気分はどう?コンラッド。
コン: なんだか、妙にすがすがしいんです。何も気にならなくなったというのか、どうでもよくなったというのか……。ぶっちゃけ、この国の未来とか、どうでもいいですよね?
有利: よくねー!!
コン: 外交に不向きな無愛想な男とか、そもそも国政に不向きなわがまま男とか、趣味で暴走する公私混同男とか……。どうやってフォローすればいいんですかね?
有利: フォロー……してたんだ……。てっきり暖かく見守っているだけかと……。えーと……まさか、この事態は、日頃のストレスを発散……してるわけじゃないよね……?
コン: 旅に出たくなりました。あなたの魂を抱いて地球を旅していたあの頃のように……。あの頃はいつもあなたの魂が側にいて、俺はどこにいても、一人でいても、寂しいことはなかった。
有利: 今は……寂しいの?
コン: そう言ったら、どうします?
有利: どうって……。
コン: 寂しいと言ったら、側にいてくれるんですか?ずっと、俺の側に……?
有利: それは……。
コン: ユーリ……。あの頃……あなたの魂は、いつでも俺の胸のボケットにあった。ほら、こんな風に……。
有利: ちょ、コンラッド……!
コン: あなたを胸に抱いて、二人だけで旅をしたい。ここを離れて、ずっと遠くへ……。
有利: そんなこと……。言うなよ、コンラッド……。いくら酔っているからって……。
コン: 俺は酔ってませんよ。ほとんど飲んでません。
有利: いや、そうなんだろうけど、アニシナさんが……。ねえ、痛いよ。少し腕をゆるめて、コンラッド。
コン: 誰にも邪魔されず、二人だけで旅ができれば、どんなに素晴らしいだろう……。グランドキャニオンの夕陽、夜空に広がるオーロラ、地平線まで続く大陸の草原……。
有利: コンラッド……。
コン: 浅草寺の雷門、東京タワー、二条城、清水寺……。
有利: え?
コン: 安芸の富島、日光東照宮、奈良公園の鹿……。
有利: 修学旅行かよ!?しかも、ちょっと古いチョイスだよ!
コン: 先生、佐藤くんがいません!バスの中では一緒だったんです、間違いないです!
有利: 誰だよ、佐藤くんって!?つーか、しっかりして!コンラッド、しっかりして!
コン: きっと八坂神社ではぐれたんだ!稚児行列に巻き込まれたのかも!?佐藤くん、ちっちゃいから!
有利: やってないから!今、祇園祭やってないから!しっかり!コンラッド!
[ヴォルフラム乱入中止]
第3幕 エピソード2 天下無双の舞人祭!
34:16〜36:02
有利: ちょ、だ、誰?おれの手を取っているのは誰?
コン: 陛下。
有利: その声……。コンラッド……?
コン: はい。無事一緒になれてよかった。
有利: よかったー。あの騒ぎだったから、知らない人の手を握っちゃったかと思ったよ……。あんたがパートナーで、嬉しいよ。
コン: 俺もですよ、ユーリ。
有利: ところで……。ここ、どこ?
コン: 城内の廊下ですね。どうしますか?
有利: どうしますって?
コン: 出場札を探し出して、天下一舞踏会で優勝を目指すもよし……。それとも……このままパーティが終わるまで、二人だけで過ごしますか?
有利: え、でも……。
コン: 若い貴族はやっきになっていますが、多くは高みの見物を決め込んでいますよ。そして、恋人との一夜を過ごす者もいる……。
有利: …………。
コン: 誰も俺たちが組になったことを知らない。二人で会場から消えたことも。
有利: …………。
コン: 俺の部屋に行きますか?それとも、あなたの部屋?
有利: それって……。
コン: 冗談じゃないって、言ったら……?
有利: いや、その……なんだ、なんというか、その……。
コン: どうしました?顔、赤いですよ?
[ヴォルフラム乱入中止]
第4幕 エピソード3 君よ憤怒の剣を抜け!
26:38〜33:48
(コン: こんなことが真王のご意思だと!?俺は逃げるかもしれません。貴方がたの予想と期待を裏切って、これを抱けえて逃げるかもしれませんよ。或いは……瓶を岩に叩きつけ、揺らめく光を取り出して、俺の望みの者に与えることも出来る。そして、その子供を思う通りに育て上げ、魔王としての絶大な力を操って、この国を覆すことも不可能じゃない!それでも俺にこの役割を与えるというのか。何故、俺が行かなくてはならないんだ。苦しむことは、判っているのに……。ジュリア……!)
コン: ……どうしたんですか……どうしたんですか、ユーリ?しっかりしてください。
有利: あ……コンラッド……。
コン: よかった。目が覚めましたね。うなされてるみたいだったから。ちょっと心配になって。大丈夫ですか?
有利: 泣いて……ないよな?
コン: ええ。だがら、泣いていますよ、あなたが。
有利: えっ?あ……ホントだ、なんか目が濡れて……やだな、寝起きだから。
コン: ……。どうやら、大丈夫そうですね。悪い夢でも見た?
有利: いや、よく覚えてない……でも、感覚が……。胸が苦しくて……。震えてて、それで……可哀想で……。
コン: ……ユーリ?
有利: コンラッド、怒っても……ないよね?
コン: えっ……?どうしたんです、一体?ああ、あの話の続き?そういえば、お部屋に戻った後もご活躍だったみたいですね。
有利: あ。えっと……聞いちゃった?
コン: ええ。なんでも、俺を陥れるために、結構な悪戯をなさったとか。
有利: あーはは……。見事に失敗したけどね。いいんだ……。さすがにもう懲りたよ。みんなに迷惑かけるだけだし。
コン: おや?やめちゃうんですか?もったいない。俺も、ユーリに悪戯されてみたかったんだけどな。
有利: なに言ってんだよ?どうせまた、あんたは、軽くあしらうんだろ?
コン: とんでもない。重要なポイントさえ押さえれば、俺を怒らせるのなんて簡単ですよ。
有利: うっそだぁ。おれ、全部失敗したのに?
コン: まあ、ユーリの悪口や悪戯では……失礼ながら、あなたの可愛らしさが増すばかりで。
有利: だ、だから、可愛いとか言うな。
コン: ははっ……。申し訳ありません。でも、そんなあなただけが、俺を怒らせることができるんですよ。
有利: へ?
コン: 俺を怒らすことができるのは、ユーリだけです。ユーリを傷つけるものを、俺は許さない。たとえ誰であろうと……。ユーリの心や体を悪しませたり痛ませたりするものを、俺は許さない。怒りをもって立ち向かう。
有利: コンラッド……?
コン: 俺が怒るのは、そういう時だけです。だから、俺を怒らすことができるのは、ユーリだけなんですよ。誰だって大切な人を傷つけられたら、怒るに決まってるでしょう?
有利: 大切な人って……おれってこと?
(コン: こんなことが真王のご意思だと!?)
有利: でも、それはおれが魔王だからだろ。
コン: 違います。
有利: だったら……
(コン: 何故、俺が行かなくてはならないんだ。苦しむことは、判っているのに……。)
有利: だったら、さ……。
コン: だったら?
(コン: ジュリア……!)
有利: おれが……おれの魂が、ジュリアさんの……だから?
コン: え?
有利: そうだよ、ジュリアさんだから……。だからコンラッドは、おれを大切にしてくれる。だって、コンラッドの大切な人は、渋谷有利ではなく、フォンウィンコット卿スザナ・ジュリアだ!
コン: ユーリ!
有利: コンラッドが見てるのはおれじゃなくて、おれの中にいるジュリアさんを……
コン: そうじゃない、それは違う!!
有利: …………。ホントだ、やっと怒った。
コン: は……?
有利: あはっ……ごめん、ごめん。でも、そっか。やっば、兄弟だよな。そうやって怒った顔すると、ヴォルフやグウェンとよく似てる。その顔……その顔が見たかったんだよ。
コン: ユーリ……。
有利: そんな情けない顔すんなよ。悪かったって。でも、コンラッドも悪いんだからな。いつも余裕たっぶりで、なんか、おればっか見すかされてる気がしてさ……。でも、ジュリアさんか……。会ってみたかったな。前世がどうとかってのは、正直、よくわかんないけどね。だって、おれは結局、渋谷有利だもん。十六になる直前まで、地球の日本で高校生やってた、ただの野球小僧の渋谷有利だ。そんな渋谷有利として、ジュリアさんって人に会ってみたいだけ。それだけだよ。前世も何も関係ない。
コン: ユーリ……。
有利: だからまあ、今回は、おれのが一枚上手だったってことで!たまにはいいだろ?
コン: ……参りました。さすがは、魔王陛下です。
有利: へへへ……。代打逆転サヨナラホームランだね。打ったことないけど。
コン: 俺の魔王陛下は、ハートが強くて本当に素晴らしい。そんなところ、とても好きですよ。
有利: おれの、好…… う、うるさぁい!だから、簡単に、おれのーとか、好きーとか、可愛いとか言うなー!
コン: どうして怒るんです?そこ、怒るとこじゃないですよ。それに今回は、可愛いとも言ってないのに。
有利: と、とにかく禁止!禁止なの!
コン: はいはい。それにしても、ユーリを怒らせることは、本当にちょろいんですけどね……。
有利: ちょろい言うなぁー!
第5幕 ゆらめく時の狭間に
17:05〜18:29
有利: うー。カビくさい。そろそろ虫干しとか必要だよな。コンラッド!いるか〜? とっ!?やべっ!滑った〜っ!あー!……!って……。あれ?
コン: 大丈夫ですか?
有利: ちょ、コンラッド!?そんな、いきなり……
コン: いきなり?
有利: いや、あの……おれ……えーと……お、おひさしぶりっす……。
コン: お怪我がなくて何よりです。
有利: 宝物庫で何やってんの?
コン: ちょっと……探し物を。
有利: 探し物って、お宝?掘り出し物?鑑定団、呼んでこよっか?
コン: いえ。あくまで、私的な思い出の品なので。
有利: 思い出……。そうだよな……。コンラッドたち魔族は、とても長い時を生きてるんだよな。ふだん忘れてるけど、おれの知らない時間がたくさんあるってことだよな……。
コン: 陛下?
有利: あ……あは、あははは。違う、違うよー。おれ、別にその……全然、気にしてなんか……
[ヴォルフラム乱入中止]
30:29〜31:41
コン: すみません、陛下。元はと言えば、俺とヴォルフラムのせいで……。
有利: 謝らないでくれよ、コンラッド。誰も悪くないんだから。そう。いつだって、誰も悪くない。お前は、もっと悪くない! なっ、コンラッド?
コン: はあ……?ありがとう……ございます。
有利: ふあ〜あ。さすがに疲れたな。
コン: お部屋は整えてありますよ。どうぞ、ごゆっくり、お休みください。
有利: うん、ありがと。
コン: そうだ。大切なことを言い忘れていました。
有利: なに?
コン: おかえりなさい、陛下。
コンラッドED
15:21〜19:50
コン: どうします?お花見、このまま続けましょうか?
有利: 花より、コンラッド……。桜もいいけど……。舞い散る桜の中に佇むハリウァド俳優……みたいな男、も絵になるなあ。普段、魔族の超絶美形にまぎれてあまり意識してなかったけど。コンラッドも整った顔してるんだよ。鼻筋がスッと通ってて、目元も涼やかだし、瞳には銀の光が散ってて、すごく印象深いし。映画のオーディションとかに出たら、きっと脚本家が一番気に入る。審査員のコメントは、こうだ。彼の演技の裏側には「真実」ガ見えるから。こんな人が名付親だってのは、ちょっとした自慢だったりするけど、ただ……それだけじゃないんだよな。なつかしいっていうか……。安らぐっていうか……。なんだろ……?この感じ……。◇1. でも、みんなのことも気になるな。
◇2. そうだな。お花見を続けるか。
◆3. 花よりも、コンラッドを……。
(有利: おれ、あんたとどっかで会ってるかな。
コン: ……いや。)
コン: ユーリ?
有利: うわ!なに?
コン: それは俺の台詞ですよ。俺の顔を見たまま固まってるから、どうしたのかと。俺の顔に、何かついでます?花びら?木の葉?それとも、毛虫でも?
有利: ははは、毛虫は、まだ早いって。あれは葉桜になってからが本番。大量発生すんだよ。わ!冷たっ!
コン: あ。
有利: な、なんか背中にボタッて……。雨でも降ってきた?でも、晴れてるよな?あーでも、なんか背中を伝わってる……むしろこう、這ってる感じ……。……這って……る?
コン: 陛下、申し上げにくいんですが……
有利: ま、まさか……いま、おれの背中に……
コン: ええ。毛虫らしきものが降下侵入しました。
有利: わわわわわっ!ちょ、ちょっとこら、毛虫!まだ時期が早いだろ、毛虫!出てこいって!中で潰れちゃったらどーすんだよ!そんな感触、知りたくないっつーかお互いにとって大惨事だろ?
コン: 下から出せませんか。とりあえずシャツの裾を出して……ああ、そんな無理に生地を引っ張ると、大惨事に。
有利: 大惨事はイヤー!
コン: じゃあ、先に上着を脱いでください。服を強く押さえ過ぎないよう、慎重にボタンを外して。
有利: そ、そんな微妙な……こ、このっ……あああっ、て、手が震えて、ボタン外せないよっ。
コン: 落ち着いて。俺が外すから。さ、手をどけて。大丈夫、俺に任せて。
有利: う、うん……
コン: おかしいな。どこにもいない……。どこか、感じるところは?
有利: わ、わかんないよ。いいから早く……お願いっ……。
コン: せかさないで。ここかな。それとも……
有利: あっ……
コン: ここ?
有利: ち、違う……みたい……。
コン: それじゃ、こっちは?
有利: ひゃっ……。へ、変なトコ触んないで。
コン: やめていいの?
有利: やだよ、やめないで……
コン: それじゃ……いいね?
有利: うん……。
コン: あ、ちょっと待ってください。
有利: えっ?何?
コン: もしかして、下の方ですかね?
有利: 下って……下ぁ!?えええーっ!?
コン: よしっ。ユーリ、ベルトも外しますよ!
有利: よしって!?いいです、こっちはいいデスー!
コン: でも、捜さないと困るでしょう。毒を持ってるかも知れない。
有利: 毒!?そ、そんな毛虫に刺されたら……どどど、どうなっちゃうんだ!?
コン: ……立派になるかも。
有利: イヤーっ!そんあドーピングは嫌だー!
コン: じゃあ、やっばり下も脱がないと。ほぉらっ!
有利: や、やめてー!あーれーぇぇぇっ!!
[ヴォルフラム乱入中止]
第2幕 エピソード2 年の瀬は悪夢の調べ
21:14〜25:27
コン: あれ、陛下?
有利: 陛下って言うな、名付親。よかった。おれがわかるんだね。
コン: 当たり前じゃないですか。何をおっしゃっているんです。いつもの、お可愛らしい陛下ですよ。
有利: 酔ってるのかな……。顔を見る限りじゃ酔ってるようには見えないけど……。
コン: どうしました?そんなに俺の顔を見つめて……。俺に惚れたら怪我するぜ?
有利: やっばり酔ってるかな?うん、酔ってるな、これは……。しかも相当に……。コンラッドって、そんな酒に弱いってイメージじゃないもんな。すごいよ、アニシナさん……。えーと、気分はどう?コンラッド。
コン: なんだか、妙にすがすがしいんです。何も気にならなくなったというのか、どうでもよくなったというのか……。ぶっちゃけ、この国の未来とか、どうでもいいですよね?
有利: よくねー!!
コン: 外交に不向きな無愛想な男とか、そもそも国政に不向きなわがまま男とか、趣味で暴走する公私混同男とか……。どうやってフォローすればいいんですかね?
有利: フォロー……してたんだ……。てっきり暖かく見守っているだけかと……。えーと……まさか、この事態は、日頃のストレスを発散……してるわけじゃないよね……?
コン: 旅に出たくなりました。あなたの魂を抱いて地球を旅していたあの頃のように……。あの頃はいつもあなたの魂が側にいて、俺はどこにいても、一人でいても、寂しいことはなかった。
有利: 今は……寂しいの?
コン: そう言ったら、どうします?
有利: どうって……。
コン: 寂しいと言ったら、側にいてくれるんですか?ずっと、俺の側に……?
有利: それは……。
有利: 今だて魂はいつも、近くにあると感じてるよ。だって、コンラッドはおれの名付親で……。生まれる前から、おれを見守ってくれて……。おれには特別な存在だよ。そうだろ?◆1. 側にいるじゃないか。
◇2. 本当は、寂しかったんだ。
◇3. らしくないな……。
コン: ユーリ……。あの頃……あなたの魂は、いつでも俺の胸のボケットにあった。ほら、こんな風に……。
有利: ちょ、コンラッド……!
コン: あなたを胸に抱いて、二人だけで旅をしたい。ここを離れて、ずっと遠くへ……。
有利: そんなこと……。言うなよ、コンラッド……。いくら酔っているからって……。
コン: 俺は酔ってませんよ。ほとんど飲んでません。
有利: いや、そうなんだろうけど、アニシナさんが……。ねえ、痛いよ。少し腕をゆるめて、コンラッド。
コン: 誰にも邪魔されず、二人だけで旅ができれば、どんなに素晴らしいだろう……。グランドキャニオンの夕陽、夜空に広がるオーロラ、地平線まで続く大陸の草原……。
有利: コンラッド……。
コン: 浅草寺の雷門、東京タワー、二条城、清水寺……。
有利: え?
コン: 安芸の富島、日光東照宮、奈良公園の鹿……。
有利: 修学旅行かよ!?しかも、ちょっと古いチョイスだよ!
コン: 先生、佐藤くんがいません!バスの中では一緒だったんです、間違いないです!
有利: 誰だよ、佐藤くんって!?つーか、しっかりして!コンラッド、しっかりして!
コン: きっと八坂神社ではぐれたんだ!稚児行列に巻き込まれたのかも!?佐藤くん、ちっちゃいから!
有利: やってないから!今、祇園祭やってないから!しっかり!コンラッド!
[ヴォルフラム乱入中止]
第3幕 エピソード2 天下無双の舞人祭!
34:16〜36:02
有利: ちょ、だ、誰?おれの手を取っているのは誰?
コン: 陛下。
有利: その声……。コンラッド……?
コン: はい。無事一緒になれてよかった。
有利: よかったー。あの騒ぎだったから、知らない人の手を握っちゃったかと思ったよ……。あんたがパートナーで、嬉しいよ。
コン: 俺もですよ、ユーリ。
有利: ところで……。ここ、どこ?
コン: 城内の廊下ですね。どうしますか?
有利: どうしますって?
コン: 出場札を探し出して、天下一舞踏会で優勝を目指すもよし……。それとも……このままパーティが終わるまで、二人だけで過ごしますか?
有利: え、でも……。
コン: 若い貴族はやっきになっていますが、多くは高みの見物を決め込んでいますよ。そして、恋人との一夜を過ごす者もいる……。
有利: …………。
コン: 誰も俺たちが組になったことを知らない。二人で会場から消えたことも。
有利: …………。
コン: 俺の部屋に行きますか?それとも、あなたの部屋?
有利: それって……。
有利: 冗談……だよね?◆1. まさか……コンラッド……。
◇2. 棄權はしたくないな。
◇3. 婚約者のいる身ですから!
コン: 冗談じゃないって、言ったら……?
有利: いや、その……なんだ、なんというか、その……。
コン: どうしました?顔、赤いですよ?
[ヴォルフラム乱入中止]
第4幕 エピソード3 君よ憤怒の剣を抜け!
26:38〜33:48
(コン: こんなことが真王のご意思だと!?俺は逃げるかもしれません。貴方がたの予想と期待を裏切って、これを抱けえて逃げるかもしれませんよ。或いは……瓶を岩に叩きつけ、揺らめく光を取り出して、俺の望みの者に与えることも出来る。そして、その子供を思う通りに育て上げ、魔王としての絶大な力を操って、この国を覆すことも不可能じゃない!それでも俺にこの役割を与えるというのか。何故、俺が行かなくてはならないんだ。苦しむことは、判っているのに……。ジュリア……!)
コン: ……どうしたんですか……どうしたんですか、ユーリ?しっかりしてください。
有利: あ……コンラッド……。
コン: よかった。目が覚めましたね。うなされてるみたいだったから。ちょっと心配になって。大丈夫ですか?
有利: 泣いて……ないよな?
コン: ええ。だがら、泣いていますよ、あなたが。
有利: えっ?あ……ホントだ、なんか目が濡れて……やだな、寝起きだから。
コン: ……。どうやら、大丈夫そうですね。悪い夢でも見た?
有利: いや、よく覚えてない……でも、感覚が……。胸が苦しくて……。震えてて、それで……可哀想で……。
コン: ……ユーリ?
有利: コンラッド、怒っても……ないよね?
コン: えっ……?どうしたんです、一体?ああ、あの話の続き?そういえば、お部屋に戻った後もご活躍だったみたいですね。
有利: あ。えっと……聞いちゃった?
コン: ええ。なんでも、俺を陥れるために、結構な悪戯をなさったとか。
有利: あーはは……。見事に失敗したけどね。いいんだ……。さすがにもう懲りたよ。みんなに迷惑かけるだけだし。
コン: おや?やめちゃうんですか?もったいない。俺も、ユーリに悪戯されてみたかったんだけどな。
有利: なに言ってんだよ?どうせまた、あんたは、軽くあしらうんだろ?
コン: とんでもない。重要なポイントさえ押さえれば、俺を怒らせるのなんて簡単ですよ。
有利: うっそだぁ。おれ、全部失敗したのに?
コン: まあ、ユーリの悪口や悪戯では……失礼ながら、あなたの可愛らしさが増すばかりで。
有利: だ、だから、可愛いとか言うな。
コン: ははっ……。申し訳ありません。でも、そんなあなただけが、俺を怒らせることができるんですよ。
有利: へ?
コン: 俺を怒らすことができるのは、ユーリだけです。ユーリを傷つけるものを、俺は許さない。たとえ誰であろうと……。ユーリの心や体を悪しませたり痛ませたりするものを、俺は許さない。怒りをもって立ち向かう。
有利: コンラッド……?
コン: 俺が怒るのは、そういう時だけです。だから、俺を怒らすことができるのは、ユーリだけなんですよ。誰だって大切な人を傷つけられたら、怒るに決まってるでしょう?
有利: 大切な人って……おれってこと?
(コン: こんなことが真王のご意思だと!?)
有利: でも、それはおれが魔王だからだろ。
コン: 違います。
有利: だったら……
(コン: 何故、俺が行かなくてはならないんだ。苦しむことは、判っているのに……。)
有利: だったら、さ……。
コン: だったら?
(コン: ジュリア……!)
有利: おれが……おれの魂が、ジュリアさんの……だから?
コン: え?
有利: そうだよ、ジュリアさんだから……。だからコンラッドは、おれを大切にしてくれる。だって、コンラッドの大切な人は、渋谷有利ではなく、フォンウィンコット卿スザナ・ジュリアだ!
コン: ユーリ!
有利: コンラッドが見てるのはおれじゃなくて、おれの中にいるジュリアさんを……
コン: そうじゃない、それは違う!!
有利: …………。ホントだ、やっと怒った。
コン: は……?
有利: あはっ……ごめん、ごめん。でも、そっか。やっば、兄弟だよな。そうやって怒った顔すると、ヴォルフやグウェンとよく似てる。その顔……その顔が見たかったんだよ。
コン: ユーリ……。
有利: そんな情けない顔すんなよ。悪かったって。でも、コンラッドも悪いんだからな。いつも余裕たっぶりで、なんか、おればっか見すかされてる気がしてさ……。でも、ジュリアさんか……。会ってみたかったな。前世がどうとかってのは、正直、よくわかんないけどね。だって、おれは結局、渋谷有利だもん。十六になる直前まで、地球の日本で高校生やってた、ただの野球小僧の渋谷有利だ。そんな渋谷有利として、ジュリアさんって人に会ってみたいだけ。それだけだよ。前世も何も関係ない。
コン: ユーリ……。
有利: だからまあ、今回は、おれのが一枚上手だったってことで!たまにはいいだろ?
コン: ……参りました。さすがは、魔王陛下です。
有利: へへへ……。代打逆転サヨナラホームランだね。打ったことないけど。
コン: 俺の魔王陛下は、ハートが強くて本当に素晴らしい。そんなところ、とても好きですよ。
有利: おれの、好…… う、うるさぁい!だから、簡単に、おれのーとか、好きーとか、可愛いとか言うなー!
コン: どうして怒るんです?そこ、怒るとこじゃないですよ。それに今回は、可愛いとも言ってないのに。
有利: と、とにかく禁止!禁止なの!
コン: はいはい。それにしても、ユーリを怒らせることは、本当にちょろいんですけどね……。
有利: ちょろい言うなぁー!
第5幕 ゆらめく時の狭間に
17:05〜18:29
有利: うー。カビくさい。そろそろ虫干しとか必要だよな。コンラッド!いるか〜? とっ!?やべっ!滑った〜っ!あー!……!って……。あれ?
コン: 大丈夫ですか?
有利: ちょ、コンラッド!?そんな、いきなり……
コン: いきなり?
有利: いや、あの……おれ……えーと……お、おひさしぶりっす……。
コン: お怪我がなくて何よりです。
有利: 宝物庫で何やってんの?
コン: ちょっと……探し物を。
有利: 探し物って、お宝?掘り出し物?鑑定団、呼んでこよっか?
コン: いえ。あくまで、私的な思い出の品なので。
有利: 思い出……。そうだよな……。コンラッドたち魔族は、とても長い時を生きてるんだよな。ふだん忘れてるけど、おれの知らない時間がたくさんあるってことだよな……。
コン: 陛下?
有利: あ……あは、あははは。違う、違うよー。おれ、別にその……全然、気にしてなんか……
[ヴォルフラム乱入中止]
30:29〜31:41
コン: すみません、陛下。元はと言えば、俺とヴォルフラムのせいで……。
有利: 謝らないでくれよ、コンラッド。誰も悪くないんだから。そう。いつだって、誰も悪くない。お前は、もっと悪くない! なっ、コンラッド?
コン: はあ……?ありがとう……ございます。
有利: ふあ〜あ。さすがに疲れたな。
コン: お部屋は整えてありますよ。どうぞ、ごゆっくり、お休みください。
有利: うん、ありがと。
コン: そうだ。大切なことを言い忘れていました。
有利: なに?
コン: おかえりなさい、陛下。
コンラッドED
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